みなさん、最近疲れてはないでしょうか?
体の疲れだけではなく、心や脳に関してもです。
それはあなたが全力に近い状態、いわゆる「ベストを尽くす」をずっと維持しているせいではないでしょうか?
今回はそのベストともうひとつの状態、「ベター(better)」について私の考えを述べようと思います。
もしよかったら、最後まで読んでいただけると幸いです。
「ベスト」と「ベター」の定義
まずは「ベスト」と「ベター」の違いを定義しておきましょう。
あなたがひとつのことに対して、注ぎ込めるリソース(時間、熱量、お金、集中力など)の最大を100%としたとき、
ベスト:80~100%
ベター:60~79%
とここでは定義しておきます。
要するに、「ベストは」全力を注ぐ、「ベター」はちょっと手を抜く、ということです。
これはあなた個人の感覚で問題ありません。
自分はベストだと思っているのに、周りからは「手を抜いている」と言われても、自分の感覚を優先して気にしないようにしましょう。
ただし、フィードバックをして、より成果につながるようなリソースの注ぎ方を考えることは、必要です。
「ベストを尽くす」は危険!!?
「ベスト」と「ベター」を定義したところで、一番重要なことをお伝えします。
それは最初からベストを出す、もしくは常にベストの状態を注ぎ込むというのは危険、ということです。
「ベストを尽くす」という言葉は世間的には“良い言葉”とされていますが、下記のような危険性を孕んでいることも注意しなければなりません。
・成果を出す方向からずれている
→方向がずれているため、十分に報われない
・恒常性のブレーキにより、常にベストを出すことは困難
・次へのハードルが高くなってどんどん完璧主義(もしくは不完全恐怖症)になっていく
これは「精神論を否定している」という単純なものではありません。
マラソンで考えてみましょう。
どのマラソン選手もスタートから全力で走っている人や、常に全力で走っている人はいません。
ペース配分を考え、区間によって「ベスト」と「ベター」を使い分けています。
つまり、成果を出すために意図的に手を抜いている時もある、ということになります。
これはマラソンだけでなく、他のスポーツにおいても言えることでしょう。
しかし他の分野、特に仕事においてはこういった考えが浸透されない、どころか「悪」と言ってくる会社だってあります。
まぁなぜそのようにいわれているのかは、大体察しがつくのですが・・・・
とにかく、時には「ベスト」と「ベター」を使い分けることが、成果を出すために必要があることを心にとどめておきましょう。
日本は全力主義である(特に仕事)
しかし先ほどの話を含め、日本では意図的に手を抜くことが「良くないこと」とされています。
例として、「適当」という言葉にフォーカスします。
本来の「適当」という言葉の意味は、主に下記を意味する言葉でした。
・条件や目的にうまく当てはまること
・度合いがちょうどよいこと
しかし今、「適当」は全力を出さないという意味の「テキトー」として、ネガティブに使われていますよね?
いつから今の意味として使われるようになったのは諸説ありますが、1960年頃には使われていることが確認できるみたいです。

1960年代というと高度経済成長期真っ只中で、今よりも組織の中で働くのがメジャーでした。
その中で
「手を抜かれると俺たちの利益が減ってしまう!!!」
と考えた上層部たちが今の意味に変えたのも可能性の一つとしてありそうです。
※あくまで個人の妄想です。
またもう一つの例として仕事の効率化があります。
IT技術の発展により、数十年前と比較して業務の効率は格段に跳ね上がっており、今まで1週間かかっていた業務が労力をかけずに半日で終わった、なんてことがザラにあります。
外から見れば仕事が”楽になった”といえるでしょう。
しかし、SNSを見ていると仕事が楽になるどころか、むしろ苦しいという声が散見されます。
これは業務の効率化によって、空いてしまった時間に新しい業務が入ったため、であるということは自明でしょう。
しかも、そこからさらに新しい業務が入った状態がデフォルトになることと、脳にかかる負担はより大きくなったことが降りかかります。
加えて昔に比べ、残業に対する目も厳しくなっているため、時間をかければ解決する話ではなく、少ない時間でこなさないといけない。
「あれ?前より苦しくなってない?」
と思わない方が不思議なくらいです。
最近だと日本の名目GDPがドイツに抜かれて4位となり、2025年中にはインドに抜かれるとも言われています。
それは日本で勤務している社員が「働いていないから」ではなく逆に「(脳が)働きすぎて常に疲れているから」だと私は思っています。
ベターが平常、たまにベストでいこう
以上のことから繰り返し私が提案するのは、意識的に「ベスト」と「ベター」を使い分ける、ということです。
はじめのうちはベターを重ねて、無理なくノウハウを学んでいきます。
そしてちょっと本気を出さないといけない場面と感じた場合にのみベストを出す、といったやり方です。
分かりやすく例えると
ベター:ストレッチ、基礎練習、助走
ベスト:大会等の実戦
スポーツでストレッチをせずに、本番に向かう選手なんていませんよね?
「手を抜ける仕事なんてない」
と思っているあなたはとりあえず、今抱えている仕事の一つに対して、実験として手を抜いてみてください。
もしそれで何も言われなかったら次回からベターで行けばいいですし、何か言われて気になるのであれば他の仕事で試してください。
ただし一点、重要なことがあります。
それはベストを出さずにずっとベターのままでいくのは避けてほしい、ということです。
ずっとベターのままだと、ベター=ベストと脳が勘違いをして、「本当のベスト」を出すことに脳がブレーキをかけるからです。
上記の現象そのものに名称はありませんが、現状維持バイアスがそうさせている可能性がある、と考えられています。

なのでたまにはベストを出す環境を用意してあげること、そしてそれが成果につながった/ベストを出したことを自分自身で褒める心構えを持っておくことが大切です。
最後に
世の中的にもっと、ベストを尽くし続けることの危険性と、成果のために時には手を抜くことも大事だということを認知してほしいですね。
特に近年、真面目な人ほど「常にベストを尽くさないといけない、ベストを尽くさないと失礼」と考えてすぎてしまうあたり、自律神経失調症や適応障害、うつ病などの神経疾患/精神疾患になるケースが増加しています。
上記のケースの多くは、ベストを尽くす裏で自分が発していたSOSを無視し続けていた。
つまり、
内側からの声に対しては、非常に不真面目だった
ということです。
ですので、内側からの声に応えるためにも、「ベスト」と「ベター」を使い分けていきましょう。
今回は以上となります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!!
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